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講師学生対談シリーズ 『住宅デザイン』のベース

自由を'考える力'が「住宅デザイン」のプランニングを前進させる。

東京デザイナー学院・建築デザイン専攻では、2年次の4~8月中旬にかけて講師である建築家・岸本 和彦氏の課題に沿って住宅プランニングに取り組む「住宅計画演習」が行われます。

そこで学ぶことが住宅デザインにどう活かされていくのかを学生の杉本 拓斗さん、川口 貴広さん、能登 大将さん、そして岸本先生を招いて語り合って頂きました。

岸本 和彦先生

1968年、鳥取県出身。
1991年、東海大学工学部建築学科(吉田研介研究所)卒業後、(株)エーアンドエー建築計画研究所に入所。一級建築士免許を取得し、設計主任として活躍する。1998年、(有)アトリエ・チンク建築研究所を設立。2004年から東海大学や東京デザイナー学院の非常勤講師も務める。2007年に、組織名を(有)acaa建築研究所に改名。
http://www.ac-aa.com

杉本 拓斗さん

建築デザイン専攻
2年生

川口 貴宏さん

住宅デザイン専攻
2年生

能登 大将さん

建築デザイン専攻
2年生


最初のアイデアは変えずに大事にした方がいい。

岸本
「住宅計画演習」で出す課題は、毎年微妙に違うんだけど、方向性は同じ。一つは別荘みたいな住宅。周りに家がない場所にどう建てるか。もう一つは、ロケーションのない住宅。ロケーションがないというのは、敷地の設定がないということ。通常は、社会性のある敷地を見て、調査して、特性を把握した上でプランを立てていくんだけど、それは1年次やほかの授業で学べる。だからこそ、敷地のない『住宅』を題材にすると、プランニングするためにテーマとかものの考え方自体を自分で構築しなければならない。もちろん、最終的には敷地に置かれるんだけど、そういうしがらみのないところで何ができるのかというのはこの授業の重要な狙いなんだよね。
杉本
別荘建築で先生から与えられたのは、すり鉢状の敷地に落葉松が乱立する敷地でした。
川口
それから『オンとオフ』という言葉ですね。
岸本
『オンとオフ』から連想できる建築のあり方を考えてほしかったからね。オンを日常、オフを非日常と捉えてもいい。その切り替えのきっかけになるような空間をつくり出す。それが僕が出したテーマかな。
能登
そこから自分なりのテーマを決めるのには悩みました。
岸本
それが決まるのが一番遅かったのは能登君だったね。でも、テーマで作品の評価は決まらない。大事なのはそこからなんだから。
杉本
だから、最初のアイデアを大事にしなさいと言っていたんですね。でも、取り組んでいる期間は毎週、みんなのアイデアを図面や模型の形で持ち寄って意見を出し合っていたので、何度も変えようと思ってしまいました。結局、僕は"対比"というキーワードから表裏一体というアイデアが浮かんで、1枚の紙を引き伸ばして、曲線を描くことで表が裏に、裏が表になる空間に、個と共有の空間を分けていきました。
川口
僕もみんなの意見は刺激になりましたね。その中で敷地の自然環境をそのまま活かすことにしました。家の存在感を抑えるために乱立する落葉松の隙間を縫うような形をつくって、日常を過ごす都会の環境から離れて穏やかな時間を過ごせる別荘を計画できたと思います。
能登
僕は落葉松の林自体が都会とは違う場所だと捉えました。その風景をいろんなスタイルで体感できたらいいなと考えて、家の中にいろんな高さの空間をつくって林のざわめきというのかな、そういうものを感じられる別荘に仕上げました。

住宅デザインは、考えて決めないと動かない。

岸本
ロケーションのない住宅。具体的には9坪ハウスだけど、この課題は手探り状態だったんじゃないかな。9坪は数字の上では狭い。ただ、9坪が狭い・小さいという感覚はリアルじゃない。日本独特の考え方で狭くて広いという感覚があるでしょ?でも、それをリアルに実感するのはなかなか難しい。今、自分が住んでいるアパートが何坪かさえも考えたことがなかっただろうし、どれくらい狭くて、広いのかがイメージできなかったと思うからね。
川口
最初は、イメージが湧きませんでした。模型をつくって狭いことを意識して、僕は壁の厚みも無駄になると思ったので壁をなくそうと考えましたね。
能登
僕は壁の代わりに布を使うことにしました。工事現場の骨組みを布で覆う感覚です。ただ、最初は狭いなと思ったんですけど、つくり込んでいくうちに広いなとも感じて。
川口
僕の場合は、家の中の空間を柱で仕切りました。設計者としては、いいものができたなと思ったんですが、実際にそこに住む人の生活が成り立つのかと考えたら少し違和感を覚えたのも事実です。
岸本
商品として成立させることも考えていたからね。
杉本
人が住んで楽しく暮らしてもらえるのかを考えながら、住宅をプランニングしていくのはとても勉強になったと思います。別荘建築と9坪ハウス。僕にとっては、広い敷地でどんなふうにでも設計できそうな別荘の方が難しさを感じましたね。
岸本
どんなふうにでも設計できるというのは、9坪ハウスにも共通することなんだよね。自由の方向性が違うだけ。だからこそ、考えなければ前に進めない。
川口
確かに。取り組んでいるときは常に何かを考えていました。僕は木が乱立して敷地がなだらかになっている別荘建築の方がやりやすいと思いました。
能登
僕は別荘の自由さに難しさを感じました。今までは設計するときに設定があったんですけど、それが全くなかったので、最初はどうしようかなと考え込んでしまいました。
岸本
圧倒的な自由というのは、現代人にとっては不自由だからね。決めるということは、考えることを必要とするから。それが現代人の最も苦手な部分。考えることは、言葉にするほど簡単なことではないからね。でも、住宅デザインをプランニングしていく上では、考えないと何も動かないのも事実。そういう意味でもこの「住宅計画演習」はいいトレーニングになったんじゃないかな。
北鎌倉の家
表裏一体をテーマに滑らかな曲線の中に個の空間と共有の空間を生み出した杉本さんの別荘設計。
川口さんが設計した別荘は、敷地の傾斜、乱立する落葉松など自然環境をそのまま活かした。
家の中から自然を見る高さに変化を与えて、非日常を体感できる別荘に仕上げた能登さんの設計。

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