受賞歴
奨励賞
★作品についてお聞きします
作品のテーマは?
「子猫レオの心の成長物語」です。本作は幼い子猫のレオが、ある出来事を通して他者を思いやる気持ちを学び、少しずつ成長していく姿を描いた物語です。レオの感情の変化を丁寧に描くことで、観る人が自然とレオの気持ちに寄り添えるような作品を目指しました。レオはまだ幼く、自分の気持ちを優先してしまう普通の子猫です。しかし、一連の出来事の中で大切なことに気づき、自分なりに考え、行動を選び取っていきます。成長とは特別な出来事ではなく、日常の中に潜むきっかけを見つけるのは自分次第だということを表現しました。
そのテーマにした理由と、誰に何を伝えたかったかを教えてください。
本作の主人公であるレオは、私が初めて制作したオリジナルキャラクターであり、これまでの制作活動を象徴する存在です。卒業制作という節目にレオの成長を描くことは、自分自身の成長を重ね合わせることでもありました。
物語では、レオが「自分が欲しかったおもちゃ」と「ママの誕生日を祝いたい気持ち」の間で葛藤し、最終的に後者を選択します。私はこれまで、周囲を優先するあまり自分の負担が増えてしまうような経験を何度かしてきました。その中で気づいたのは一方通行の優しさは自己満足に過ぎず、受け取ってくれる相手がいてこそ成立するものなのだということでした。だからこそ本作では、優しさがただの自己犠牲として終わるのではなく、きちんと受け止められ、互いに尊重し合える形で循環していく世界を描きたいと考えました。
レオの選択は誰かに強制されたものではなく、自分で考え、納得したうえでの行動です。その瞬間、レオは少しだけ彼の憧れる「ヒーロー」に近づいたのだと思います。私にとって「ヒーロー」とは特別な力を持つ存在ではなく、誰かのことを思いやり、行動できる人です。
本作は誰が見ても理解できるようなシンプルな構成を目指しました。観てくださった方が温かい気持ちになり、優しさの連鎖が生まれるきっかけになれば嬉しいです。
完成までに苦労したこと、それをどのように乗り越えたか教えてください。
本作は構成、キャラクターデザインからモデリング、アニメーション、コンポジットまでのすべての工程を一人で担当しています。制作を進める中で技術的に不可能だと感じる場面はありませんでしたが、最も苦労したのはレンダリングの工程でした。制作自体は概ねスケジュール通りに進んでいたものの、レンダリング時間の見積もりが甘く、最終的にはほとんどのカットを1日で出力しなければならない状況になりました。学校のPCを複数台使用し、カットを分割して同時にレンダリングを行う方法を取りましたが、その影響でアニメーションの挙動の差異や色味のずれが発生し、修正と再出力を繰り返すことになりました。レンダリングが終わらない可能性が出てきたときは精神的にもかなり追い詰められましたが、担任の先生が話を聞いて励ましてくれたおかげで気持ちを立て直すことができました。冷静に状況を整理し、残された時間でできる最善の方法を考えながら作業を続け、最終的には期限内に作品を完成させることができました。
今回の経験を通して、作品のクオリティを高めることだけでなく、限られた時間の中で確実に完成させることの重要性を改めて実感しました。完成した作品を提出できた瞬間、技術面だけでなく、制作に向き合う姿勢の面でも自分自身の成長を感じることができました。
卒業後の目標と、目標に向けてチカラを入れていきたいことを教えてください
卒業後は映像制作会社に就職し、実際の制作現場で経験を積みながら視野を広げていきたいと考えています。特定の分野にこだわるのではなく、さまざまな案件に関わることで多様な表現や技術を学び、どのような仕事にも柔軟に対応できるクリエイターになることが目標です。まずは技術力をしっかりと身につけ、任された仕事を最後までやりきることで信頼を得られる存在になりたいと思っています。
また、将来的にはディレクションを行う立場にも挑戦したいと思っています。映像制作の現場では、作品全体を俯瞰しながらチームをまとめていく役割も重要であり、その立場に立つことでより良い作品づくりにつながると考えているためです。実際に制作を行う視点と、作品全体を俯瞰する視点の両方を持つことで、より良い映像表現につなげていきたいです。
さらに、仕事とは別に自主制作も継続していきたいと考えています。今回の卒業制作を通して、作品を一から作り上げる楽しさを改めて実感しました。無理のない範囲で制作を続けながら、自分自身の表現を磨いていきたいと思っています。特にキャラクターを用いたポップで親しみやすい表現は、自分らしい強みの一つだと感じています。今後は仕事としての映像制作に全力で向き合いながら表現の幅を広げ、見る人の記憶に残る映像作品を作り続けていきたいと考えています。
