受賞歴
最優秀賞
★作品についてお聞きします
作品のテーマは?
本作品のテーマは、「依存から自立へ、そして自分の人生を書き直すこと」です。
単調に繰り返される日常の中で自由を求めながらも、見えない"へその緒"のような依存に縛られている存在を描きました。
最終的に、自ら一歩を踏み出すことで、与えられた"脚本"ではなく、自分自身の脚本を生き始める瞬間を表現しています。
そのテーマにした理由と、誰に何を伝えたかったかを教えてください。
私自身が主人公の姿と重なる部分があり、このテーマを選びました。
私たちは時に、母親の胎内にいる赤ん坊のように目を閉じたまま、「普通」や「正しい」と言われる生き方に従ってしまうことがあると感じています。
変わろうとして努力しても、脚本の一部を書き直そうとするだけでは本質的な変化は起こりません。
本当に大切なのは、目を開き、周りにある可能性や機会に気づき、その一つに思い切って飛び込むことだと考えました。
この作品はまず自分自身への問いかけであり、期待のサイクルの中で迷い、大切な時間を見失っている人たちにも向けています。
目を開き、一歩を選び取ることで、人生の脚本は本当に変わり始めるのだということを伝えたいと思いました。
完成までに苦労したこと、それをどのように乗り越えたか教えてください。
本作品は複数の技法を組み合わせて制作したため、完成までに多くの苦労がありました。
主にMayaで空間構成と3Dアニメーションを制作し、31fpsで書き出したフレームを一枚一枚手描きでトレースすることで、あえて2Dのような質感を表現しました。3Dで制作しながらも不自然に見えないようにするため、どのような線やスタイルで描き直すかを慎重に検討する必要がありました。
また、一部のシーンではロトスコープや純粋な2Dアニメーションも併用し、映像の流れや表現意図に応じて技法を使い分けました。膨大なフレーム数を描く作業は非常に時間と集中力を要するものでした。
さらに、コンセプチュアルな作品であるため、複雑なテーマを視覚的なメタファーやイメージで伝えること、そして意味が自然に伝わるようなトランジションを構成することにも苦労しました。
これらの課題に対しては、継続的なブレインストーミングやスケッチを行い、思いついたアイデアを常に書き留めることで整理しました。また、「この日までにこのシーンを完成させる」といった具体的な締め切りを自分に設け、時間管理を徹底しました。
家族や友人の支えにも励まされながら制作を続け、最終的に完成までやり遂げることができました。
卒業後の目標と、目標に向けてチカラを入れていきたいことを教えてください
卒業後の目標は、インターナショナルスクールでビジュアルアーツの教師になることです。
次世代の子どもたちが自分の才能に気づき、自分らしく表現できるようサポートしたいと考えています。
同時に、自分自身もアニメーター・アーティストとしての活動を続け、コンセプチュアルな短編作品やストーリーを制作していきたいです。
フリーランスやパートタイムなど様々な形で制作に関わりながら、教育と創作の両立を目指しています。
目標に向けて、技術力をさらに向上させるとともに、常に学び続け、さまざまな作品や表現から吸収しながら、自分自身の作品を生み出し続けていきたいと考えています。
また、AI時代の中でも、人間にしかできない感性や創造力を大切にし続けたいと思っています。
表現について
私にとってアートは、現実からの逃避であると同時に、人間らしさを実感できる大切な存在です。
時に人の心を揺さぶり、時に静かに寄り添いながら、答えを探す場所でもあると感じています。
歴史を振り返ると、時代を越えて今に残っているものの多くは、さまざまな形のアートであることに気づかされます。
だからこそ、私も何か意味のあるものを表現として残していきたいと思います。
アートは心を動かし、思考を広げる力を持つ強い表現手段です。これからも、誰かに届く作品をつくり続けていきたいです。
