受賞歴
最優秀賞
★作品についてお聞きします
作品のテーマは?
多くのひとがマンガを読んでいて一度は出会うであろう設定に「普通の人間が特別な物語の主人公になる」というものがあると考えています。この「普通」から「特別」になることに、納得のいく理由が見つけられないこともあります。それに対するアンチテーゼが大きなテーマです。 この作品の主人公は一見「普通の人」ですが、自分が普通であるからこそ、たくさん苦労をしながら自分自身で幸せをつかむ物語にしたいと考えて世界観や設定を考えました。
そのテーマにした理由と、誰に何を伝えたかったかを教えてください。
マンガを制作するときには、読者を物語に惹きつけるためのいろんな手法を考えます。そのなかでも、「読者が感情移入する」ことや「共感を得る」ことはもっとも一般的な手法で、そのためにたくさんの設定や展開を考えます。そして、多くの共感を得るための主人公の要素として「普通の人」というものがよく用いられています。
しかし、ただ「普通」なだけでは読者が楽しめる物語になることはありません。「普通の人」が「特別」である理由が本当はあるはずです。物語の展開のなかで、主人公が「特別」であることを示すような出来事や、キャラクターの魅力がしっかり伝わるように描いていれば、ただの「普通の人」という感想にはならないのではないかと考えました。読者に共感してもらいながら、特別であることに納得してもらうために、どんなことに気を付けるべきかをたくさん考えました。また、一部の作品では主人公というだけで安易で身勝手な行動を許されている場合もあると感じていたので、主人公がしっかり頑張って応援したくなるような作品を目指しました。
完成までに苦労したこと、それをどのように乗り越えたか教えてください。
いちばん苦労したことはスケジュール管理です。卒業制作に取り掛かったのは10月の最初の週からで、締め切りは2月の最初の週だったので、それまでの課題とは違い、完成までに約4ヶ月という長い時間を与えられました。しかし、実際に描いてみると4ヶ月というのは本当に短いと感じました。最初の1ヶ月の間で「ネーム」といわれる段階まで終わらせることができていて直しも少なかったので、その段階まではスムーズで楽しかったように感じていました。しかし、その後の作画の作業で丁寧に描こうとして、とても時間がかかってしまいました。担当の先生と1週間ごとに進み具合を確認しながら進めたのですが、1日ごとに「間に合わないかもしれない」と不安になっていました。
しかし、締め切りまでに必ず間に合うように『1日1ページ進める』ことを目標にして、ペン入れから仕上げまでを1ページずつ確実にやることにしました。それでもどうしてもできない日もあったので、目標の作業が早く終わりそうな日は難しい作画のページを見越して、早めに次のページの制作に取り掛かるようにしていました。また、簡単なページもあったので、そういう場合は一気に3ページ進めるなど、なるべく前倒しで進めるように頑張りました。1日中絵を描いている日もあって、毎日同じことの繰り返しのように感じたこともあります。しかし、絵を描くことは好きなので、苦痛ということではなかったと思います。そうして制作をするなかでも、本当はもっと丁寧に描きたいと思っていたし、もっと時間がほしいと感じていました。
卒業後の目標と、目標に向けてチカラを入れていきたいことを教えてください
今の具体的な目標としては「もっと良い作品をつくること」です。具体的には、今は次回作のプロットやキャラクターを考えています。今回の作品が完成する頃、次の作品を早く描きたいと思っていました。私は少女漫画(とくに魔法少女)が好きなので、次回作では少女漫画にアクションを取り入れるような作品を描きたいと思っています。そしてもう一つの目標は、日本で仕事をして暮らすことです。就職活動も頑張りながら、作品を描くことはとても大変だと思いますが、2つの目標をかなえるために卒業後もしっかり頑張りたいと思っています。
選考した先生からのコメント
ガブリエラさんは日本のゲームや魔法少女作品が好きで、ブラジルから留学してきた学生です。入学時から日本語の問題や、日本のマンガ業界の厳しさと向き合ってきました。そんな彼女が描き上げた卒業制作は、ただの少女漫画にとどまらない「生き生きとしたキャラクター」と、読者をいい意味で裏切る展開にあふれており、審査に携わったすべての講師が驚きました。作画にも一切の手抜きがなく、細かいところにもアドバイスをもらいながらしっかり完成させたという意味でも、2年間の集大成と呼ぶのにふさわしい成長を見られたと思います。
