受賞歴
優秀賞
★作品についてお聞きします
作品のテーマは?
全体を通してのテーマは1人の少女の旅記録といったテーマがありますが、大きく分けると2つ程あります。
「花(植物)」と「歴史」です。
そのテーマにした理由と、誰に何を伝えたかったかを教えてください。
植物や花は、美しく咲き誇り、儚く散ってしまったり枯れてしまう。花が枯れる儚さは、命の限りある美しさや刹那的な魅力を表し、人の心に寂しさと同時に感動を与えます。そんな植物を我々"人間"から生えていたらどんなキャラクターが生まれるのだろうという考えから花が生える人間、花瓶を人に見立て命の重みと美しさを表現したオリジナルキャラクターとして彼女、アネモネが生まれました。
そんな彼女が世界を旅し、その思い出を記録した物が切手画集です。旅しながら見たものや体験したこと、貰ったものの思い出を"切手"という形で記した手帳。それぞれの切手には、少女が思ったこと、その物について調べたことが書かれています。何故、切手にしたのかというと元々切手を収集する事が好きでいつか自分で描いたイラストでオリジナルの切手を作りたいという気持ちがいあり制作しました。
ですが、1番の理由は切手の近年の使用頻度は、インターネットやSNSの普及、ビジネスのデジタル化(電子契約・電子請求書)に伴い、劇的に減少しています。郵便物数は2001年度のピーク時から約半分にまで減少しており、23年連続でマイナスが続いています。
そのため、切手自体も買われることが減少し使われなくなりつつあります。切手には、約185年以上の歴史があります。そんな歴史のある物を無くしたくないと思い、自分自身が描いたイラストを切手にして卒業制作にしようと考え制作しました。
このように、近年の歴史のあるものなどが消えつつあります。そんな存在に少しでも目を向けて欲しく作品のテーマの1つにしました。
完成までに苦労したこと、それをどのように乗り越えたか教えてください。
着物リメイクにて、振袖風に仕上げる際編み物は一度もやったことが無く、慣れるまでに苦労しました。
YouTubeで編み図を見ながら始めは一人で作業しながら完成するのかという不安感に襲われていたのですが、編み物経験者の友人が始めの何枚かを手助けしてくれ、サイズの違う編み図なども考えてくれたおかげで、1週間もしない内に編み物に慣れることができ、完成に繋げることが出来ました。着物リメイクの作品は、成人式にて実際に私自身が着て参加しました。次に切手画集について、全100ページで描いた切手のデザインは168種。
その中で、48ジャンルの切手のデザインを考えるのは、骨が折れました。元々は、イラスト学科内で行われる"ブック展"というイベントにて出した本を卒業制作用に拡張版にして制作しました。1ジャンル事にその内容に合わせた豆知識などを本に書いており、その内容を調べることにも苦労しましたが、新たな知識を得るような気持ちで1ページ1ページ制作しました。
最後にキャラクターパネルのイラストについて、最初は制作予定では無かったのですが、締切ギリギリに担当の先生と話合い制作する事になり、急いでラフを描きました。普段はアナログの透明水彩で描く事が多いのですが、時間が無かったのでllustratorというソフトで描きコルセットの模様、着物の柄、振袖の袖の部分を描くことに苦労しました。ですが、llustratorのお陰で2日も掛からずに制作でき、新たにllustratorについて色々と覚えられ一石二鳥だと感じました。
卒業後の目標と、目標に向けてチカラを入れていきたいことを教えてください
将来、自分自身の画集を出すことが夢であり目標です。デジタル4割アナログ6割で普段イラストを描く事が多いですが長年アナログイラストばかり描いていたため、デジタルには未だに自信がありません。
そのため、いつでも描けるようにデジタル技術等に力を入れて行きたいと思っています。最近は、Illustratorというアドビ社様のソフトてキャラクターを描くことを楽しんでいます。アナログでは、透明水彩やカラーインク等をメインに描いているため、今後は他の画材にも挑戦して行きたいと思います。
選考した先生からのコメント
●イラストレーション学科非常勤講師:鶴飼 紳助(つるかい しんすけ)先生
小林さんの作品はイラストレーション科では珍しく、キャラクター衣装デザインと実物の衣装制作やキャラの持ち物である切手画集など複合的なアイテムを制作して、自分の世界観を表現していることが興味深い。
作品のメインキャラクターである"植物人間の少女"が、様々な場所へ旅をし、そこで見たものや体験を"切手"という形にして記録していく。
キャラクターは"植物"の擬人化イラストであるが、そのキャラが旅をし日記のように切手を制作して記録していくという多層的なストーリー設定はとても個性的で面白い。
100ページ(168種)に及ぶ切手画集や、キャラの衣装デザインだけでなく実物を古着リメイクし装飾も手作りと、熱意ある制作にも感心した。
AIが進化していく昨今、無限に広がる空想の世界を、作者が様々な表現方法を考え楽しんで制作していることがよく伝わる作品であると、高く評価している。
