受賞歴
最優秀賞
★作品についてお聞きします
作品のテーマは?
架空の世界雲中町の物語。雲中町の世界観を直接説明するのではなく、断片から世界を立ち上げることです。
私は雲中町を舞台に、図鑑・絵本・ゲーム・グッズ・絵など、さまざまな形式の作品を制作しました。
それらの断片を通して、ひとつの世界が少しずつ立ち上がっていく構成にしています。
詳しい説明がなくても、確かに存在していると感じられる空間を目指しました。
そのテーマにした理由と、誰に何を伝えたかったかを教えてください。
私はずっと、自分の心の中にある世界雲中町を描いてきました。
しかし物語を説明することだけでは、本当に伝えたい空気や温度は伝わらないのではないかと思いました。そして、自分の心の中にある大きい世界観をちゃんと伝えるのは簡単ではないと思いました。
そこで今回は、研究室形式の展示という形を使い、来場者に新任研究員になってもらい、作った作品を全て「研究資料」という形をしました。こういうすると、頭の中で少しずつこの世界の大まかな姿を思い描いていきます。つまり、本当にその世界の中にいるように感じてもらえるようにしました。
雲中町の物語は、シンプルであたたかいお話です。
私はこ見る人みんなの心を少しでも癒せたらいいなと思っています。
そして、今回展示している絵本では、やさしい冒険のお話を描きました。この冒険を通して、「こわいと思っているものも、実はそんなにこわくないかもしれない」ということを伝えたいです。
自分のつくった世界観を伝えながら、かわいいものを通して、少しでも誰かの力になれたらうれしいです。
完成までに苦労したこと、それをどのように乗り越えたか教えてください。
子どもでも大人でも、だれでも気軽に読める絵本にしたいと思っていました。
そのため、構図や文章について先生と何度も話し合いました。
最初は文字のない絵本にしようと思っていましたが、自分が伝えたいことは文字がないと少し分かりにくいと感じました。
なので最後は文字を入れることにしました。その代わり、画面はできるだけシンプルで分かりやすくしました。
次に大変だったのは製本です。
図鑑は少し特別な表紙にしたいと思い、合皮を使って質感を出すことにしました。
さらに、間にレンチキュラーカードを入れて、もっと面白いと思いました。
その分、制作の難しさも上がりました。
先生に手伝っていただきながら、少しずつ調整して、ある日の午前中に完成させることができました。
最後は、制作物のまとめ方です。
最初のプレゼンの時、「何を一番伝えたいの?」「一番やりたいことは何?」と先生に聞かれました。
改めて考えて、私が一番伝えたいのは「雲中町」という世界観だと気づきました。
でも作品はそれぞれバラバラで、どうやってひとつにまとめればいいのか、ずっと悩んでいました。
そんなとき、いくつかのアーティストの展示を見てヒントをもらいました。
展示されているものが、まるで研究資料のように並んでいるように感じました。そこから「研究室」というテーマを思いつきました。
研究室はもともと、集める・記録する・観察するための場所です。
この形式を使えば、ばらばらに存在していた作品を、ひとつの世界の「資料」として見せることができます。
絵本や図鑑、設定なども、普通の作品ではなく、この世界に実際に存在している記録や痕跡になります。
卒業後の目標と、目標に向けてチカラを入れていきたいことを教えてください
卒業後は、自分の世界観を軸にしたもっと面白い作品を制作したいと思っています。
特にインタラクティブ作品など、体験できることをやりたいと思います。
そのため、さまざまな表現や美意識に触れながら感性を磨き、世界観の完成度もっと高めると思っています。
名前にまつわる小さなエピソード
「雲中町」という名前は、私が日本に来て最初に住んだところ「千住中居町」から来ています。
その中の二文字を取り、「雲中町」という名前をつけました。
JO子の中国語名前は「角仔」ということです。「JO子」の「JO」は、中国語で「角」のかわいい発音に少し似ています。
つまり、最初考えている名前の意味は「角のある子」です。シンプルで理解やすいです。
選考した先生からのコメント
●イラストレーション学科非常勤講師:イワサキ ヨウコ先生
シチクンギさん、最優秀賞受賞おめでとうございます。
クンギさんは、日頃から向上心がとてもあり、卒業制作に対しても最初から目指すゴールが明確でした。
今回の作品は、愛嬌のあるオリジナルキャラクターの図鑑と絵本がメインで、2冊あることでキャラクターの世界観の相乗効果になっています。
図鑑は表紙のデザインも素晴らしく、内容もユニークな4コママンガでうまくまとめていて、小物ひとつひとつにもこだわっています。
絵本は起承転結もきちんと描かれていて、構図にもメリハリがあり、読書に伝えたいことも明確です。
ゲームやフィギュアもきちんと作り上げていて、少しずつ出来上がっていく作品を見るのが楽しかったです。
2年間の集大成にふさわしい卒業制作だったと思います!
