受賞歴
1年生学園祭 優秀賞
★作品についてお聞きします
作品のテーマは?
「成長とその挫折」です。 ここでの「成長」は内面的なものを指しています。その成長の過程、そして挫折を前半で表現しています。 後半部分では、こぼれ落ちてしまったもの、成し遂げられなかったもの、それらを他者が「拾い上げる」、「汲み取る」といったイメージを意識して描きました。
そのテーマにした理由と、誰に何を伝えたかったかを教えてください。
「成長とその挫折」というテーマは、この作品のプロットを考えていた当時、私が思い悩んでいたことと密接に関係しています。学生という立場は、進んだすぐ先に社会人という段階が控えている。「大人になる」ということ、言い換えれば「成長」ということに関してことさら敏感な時期ではないかと思います。私もその例にもれなかったわけですが、ふと自分の人間としての成長を顧みたときに、不安に駆られました。なんとえばいいのか、日々の経験や体験、他者との関わり、これら成長の糧となるようなものが自身に還元されていないような感覚。思い出、友人からもらった言わば""恩""のようなものが手からこぼれ落ちていく自己喪失感。報いることができない自責の念。こうしたものに煩悶としていた時期と作品制作に取り掛かるタイミングがちょうど重なっていたので、このようなテーマになるのは必然でした。
こう見るとすごく個人的な問題を扱ってしまったように思われたのですが、一方で、こうした挫折は誰にでも起こり得ることなのではないかという思いもあって。理想に向かっていく期待を自分自身に裏切られたときのやるせなさ、努力が無駄だったように感じられる瞬間、報われない気持ち、こうしたものは普遍的な感情だと私は思います。であるなら、個人的なものから出発したものでも、広く誰かの心に響く、共感を呼ぶ作品にできるのではないか、という期待が起こり、このテーマに踏み切ることにしました。 そして、誰に何を伝えたかったか。誰かに具体的なメッセージを伝えるというよりも、感じてもらう、というのが私の目指したところでした。途半ばで行き倒れてしまった男の子が育てようとした種、それを通りすがりの誰かが引き継ぎ、育てる。そこへ次々と人が集まって来て、種は花を咲かせる。ここには男の子の努力や願いが彼の知らぬところで報われたという構図があります。作中の男の子にとってそうであったように、このことが読んでくれた人にとってもささやかな救い、希望として響いていたら私は嬉しく思います。
また、これは余談になりますが、私と親しくしてくれた友人への感謝というのも、作品を通して伝えたかったことです。もっとも、それは作品の内容によってではなく、この作品を描くことそれ自体にそうした意義があったわけですが。
完成までに苦労したこと、それをどのように乗り越えたか教えてください。
学園祭に出す作品ということで、長くて12ページまでという指定がありました(あくまで目安でしたが)。この「12P以内」にはかなり頭を悩ませました。やりたいこと全てを入れようとするとどうしても超過してしまう。だから残すものと省くものとを決めなければならず、どう選んだものかと、かなりの時間手が止まってしまいました。そこで優先順位のようなものを決めることにし、この際、第一に考えたのが「ひき」と「めくり」です。それぞれざっくりと「ページの最後のコマ」と「ページをめくった最初のコマ」のことを指しますが、なにしろこの作品には読者の興味を強く引くストーリーもキャラクターもセリフもないので、読者にページをめくってもらうには、ことさらにこの「ひき」と「めくり」に気を配る必要がありました。この2つを起点に残すもの、省くものをある程度整理。そこからはもう試行錯誤で、何通りも試してしっくりきたものをネームに起こしていき、今の形に落ち着きました。
卒業後の目標と、目標に向けてチカラを入れていきたいことを教えてください
自身の作品が雑誌に掲載されることが目標です。卒業後すぐにとはいかないかもしれません。でもこれはあくまで1つの形であって、その本質は自分の作品がより多くの人の目に触れることにあると思っています。なので作品の発信の仕方を、主に今まで疎かったSNSを重点的に、勉強しようと思います。それからとにかく作品を描き続けることを心がけていきたいです。同時に、作品を完成させる力を磨いていきたいと思います。
※掲載内容は、2025年11月のインタビュー当時のものです。
