★作品についてお聞きします
作品のテーマは?
「つまらないものです。これ見て元気出してください。」 生理用ナプキンのパッケージをデザインしました。 女性が感じている生理という理不尽な苦しみを無視せず、 「めちゃくちゃしんどいけど、ちょっとだけ頑張ろうかな」と思える、ちょっと笑えるパッケージを目指しました。 1個1個のナプキンに、「生理ぐらい理不尽な扱いを受けているもの」による 思わず同情で笑ってしまうような、悲痛な叫びが記載されています。
そのテーマにした理由と、誰に何を伝えたかったかを教えてください。
一般的な生理用ナプキンは、多くが白とピンクを基調とした、シンプルかつ「女性らしい」パッケージでデザインされています。 最近は鮮やかな色彩で花々をあしらったお洒落なデザインのナプキンも販売されていますが、これに込められている思いは「生理でもお洒落なパッケージで気分を上げよう」「生理をポジティブに捉えよう」というものです。 この風潮に対して、私はかなりの嫌悪感を抱いていました。 生理なんて絶対にない方がいいです。ポジティブになんて捉えられるわけがありません。とにかく腹が痛くて体がだるくてやる気が出ないのに血は大量に出るんです。自分の意志で女に生まれたわけじゃないのに、こんな仕打ちを受けるなんて。本当にやってられないですよ。 自分はこんなにしんどいのに、こんなに女に生まれたことを恨んでいるのに、ナプキンは女性らしくてお洒落で機嫌が良さそうで、ナプキンにすら腹が立ちます。 そこで考えたのがこの「そしなプキン」です。先述のように、「生理ぐらい理不尽な扱いを受けているもの」による 思わず同情で笑ってしまうような、悲痛な叫びが記載されています。 生理中は森羅万象に苛立ちを覚えるので、せめて自分より不幸そうなもの、つまらないものを見て鼻で笑ってもらえたら嬉しいなと思い、制作しました。
「そしなプキン」の中のモノたちは、こんなにしょうもないことに堂々と文句を言っているのですから 生理はしんどい!という苦しみはもっと声を大にして言っていいと伝えたいです。 そして、生理をネガティブかつポップに表現することで、この苦しみがわからない人が理解しようとするきっかけになればと思います。
血は出ますが、元気も出たらいいな!
完成までに苦労したこと、それをどのように乗り越えたか教えてください。
ロゴデザインに苦労しました。 いわゆる「粗品」のパッケージをオマージュしているので、「粗品」感を残しつつ、商品としてのかわいげを入れ込むバランスが難しかったです。 ロゴとしてかわいらしくしたりモダンにしたりすると、「粗品」の楷書体のイメージとつまらないものというイメージが崩れてしまい、 逆にシンプルすぎると商品の個性も伝わらず、印象に残りません。 この両者のバランスを考えた結果、筆文字でありながら少し気の抜けた線と、かわいげのある丸みを意識した形をベースとして ナプキンのパッケージである「つまらないもの」たちの悲しそうな顔をあしらったロゴデザインを制作しました。 「プ」の半濁点の中だけでなく、実は「な」の1画目と3画目が眉毛と同じ形になっています。 私がどうしても楷書体のイメージを残したいというこだわりがあったので、このこだわりを崩すことをどこまで許容できるかという自分との戦いでもありました。
卒業後の目標と、目標に向けてチカラを入れていきたいことを教えてください
人も自分もニヤッとさせるものを作り続けたいです。 今はまだ脳内で思い描いたものを100%表現する技術力がないので、様々な技法や構図をもっと勉強して、たくさん作品を作って腕を磨いていきたいです。
選考した先生からのコメント
デザイナーとして必要なのは、「技術」はもちろん、「相手を思う気持ち」もすごく大事だと思います。後藤さんのこの作品は、ちゃんと使う人の気持ちを考えて、コンセプトからビジュアルデザインまでしっかりまとめていて、 デザインを通じて人を喜ばせる思いがちゃんと伝わりました。 ロゴデザインなどに関してはまだ未熟の部分もありますが、これから成長していく後藤さんの姿と「面白い発信」を楽しみにしています。
※掲載内容は、2025年11月のインタビュー当時のものです。
