映像デザイン科講師インタビュー企画  「現場のプロに聴け!!」第14回 白石先生

2015年1月29日 | By tdg-d | Filed in: 映像デザイン科.

映像業界で実際に活躍する講師陣に、現場のこと・今後の業界のこと・
就活に役立つお話などインタビューしました!
(担当:映像デザイン科アシスタント 加藤)

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第14回 白石先生(授業名:VFX・Ⅰ)
株式会社オムニバス・ジャパンにて「黒執事」「るろうに剣心」など数々の作品でVFXディレクター・ コンポジティングスーパーバイザーとして活躍。2014年より設立された株式会社Spade&Co.(スペード アンド カンパニー)入社。

―白石先生には2014年の10月から映像デザイン科で授業をしていただいているのですが、学生の様子はいかがですか?

すごく新鮮な気持ちですね。忘れていた事を思い出させる、というような。
基本に立ち返って、自分にとっても改めて勉強になることもあるし。若い子の様子を見ていると、こっちもやる気になれたりするので。

―ここで講師をされる前には、何かを教えるといった経験はありましたか?

殆ど無かったですね。たまにそういう話もあったんですけど、時間が無くてできなかったので。
仕事では新しく入ってきた子に教えていましたけど、授業みたいに丁寧に教える訳じゃなく、先輩として指導するという感じなので。ちゃんとした授業で、講師と生徒という関係で教えるのは初めてですね。

―教育現場というのとプロの現場と、ギャップもあると思うんですけど、大きく差が出ていると思う事はありますか?
もちろん、クオリティや1人1人の姿勢というのはあるとは思いますが…。

仕事の場合、トレーニングさせるわけではないので、どうしても責任感は常に付きまといますからね。
もちろん、最初は練習させるんですけど、1つのカットを任せたら、その責任感を持ちながら作業してもらう、というのが一番の違いかと思います。
だから、会社に入って仕事で得る情報量って圧倒的なので、実際仕事に関わってみると成長の度合いも違いますよね。
基礎はもちろん必要ですけど、学生のうちは仕事に対する姿勢などを学べればいいとも思うので、学生のうちに技術だけをそんなに必死に追い求めなくてもいいような気はしますね。

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―確かにインターンなど、仕事への緊張感は違ってくる気がしますね。

そうですね。だから僕達の会社もまだ出来て間もないですけど、何人かインターンを採ろうと思っていて、学生にも丁度声をかけているところです。来てもらって、実際に現場を見てもらうのが一番なので。そこで得られるものは大きいと思います。

―是非、鍛えてやってください!会社のお名前ってお伺いしても大丈夫ですか?

Spade&Co.(スペード アンド カンパニー)です。
まだ出来たばかりで、会社として公に発表する作品はこれから、というところです。気軽に前の会社のものを載せるわけにはいかないですから。
なので、講師をやっているとか、こういう機会に広められたらと思います。

―では何か、載せたい事があれば。こういう人探してます!とか。

今はコンポジッターとCG制作、アニメーターを募集しています。お気軽にご連絡ください。
Spade&Co. Facebookページ

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大きい会社で仕事をこなしていくのと自分たちで会社を立ち上げて仕事をしていくのと、どんな違いがありますか?

今までは映画等で受ける仕事は、基本的には自分たちのチームがプロジェクトのトップとして受ける仕事がほとんどでした。
外に出てからは他者との交流が増えたり他社の仕事を手伝ったりと、新鮮味のある仕事をやっていますね。それが目的で立ち上げたというのもあります。
多分どっちにしろ、忙しくなってくると自分たちの仕事がメインにはなってしまうとは思いますけど。

―今までの働き方から変化して、いろんな刺激が欲しいな、という感じでしょうか?

そうですね。他社と交流し始めたというのが今は一番大きいかもしれないですね。

―大きい会社や歴史の長い会社だと、自分たちのやり方をしっかり確立していたりしますからね。
もちろん、そういう会社のスタイルの中でやっていく方が良い、という人もいるかと思いますが…。

外部との技術的な交流もそれなりにはあるんですけど、自己流スタイルが強くなる面もあるので。
でもベテランでずっといらっしゃる方は、そういうスタイルがちょうどよくはまっていて。そうやって大きい会社で第一線で働いている人達は、優秀な人が多いので。

―やっぱり、大きい規模の仕事は大きい会社の方がやりやすい、といった事もありますか?

人材を集めてくるという意味では、大きい会社の方がやりやすい部分はあると思いますね。社内でうまく人材を回せれば、助かる事は多いので。
ですけど、大きい会社ならではの制限が発生する事もあるので、そういう意味で、個人的には今の方が自由に動ける気はしますね。

―現在の会社を設立する前は、どんな風にお仕事をされていましたか?

専門学校を卒業して、この9月まで11年間ほどオムニバス・ジャパンという会社にいて、そこでコンポジッターとしてやっていました。元々はCMの編集室のアシスタントとして入りました。
当時はインフェルノを使った編集アシスタントから始めて、ちょうどオムニバス内で、PCベースでコンポジット(合成)するチームを作ろうという話が挙がって、その初期メンバーとしてShakeというソフトを使い始めました。Nukeがまだ普及してなかった時代で、とはいえShakeも似たようなソフトなんですけど。そこでPCベースのチームに移って、そこから主に映画をやり始めた、という感じですね。で、今に至るといったところです。

※インフェルノ(inferno)とは、プロフェッショナル用の映像編集・合成システムの名称。オートデスク社メディア&エンターテインメント部門(旧ディスクリート社)製。1990年代後半~2000年代の定番システムのひとつ。

※Shake(シェイク)は、映画やHDTV等の高解像度の映像、VFXに使用されるデジタル合成を目的とした、Apple社 開発のMac OS XとLinux用ソフトウェアである。CGと実写、ブルーバック素材を合成するのに特に優れたソフトウェア。2009年7月31日時点で販売終了している。

05

―専門学校に入る以前から、映像をやりたいんだ!といった感じでしたか?影響を受けた作品などがあればお聞きしたいです。

そうですね、進路を決めたのは高校生の時からですね。
元々は小学生くらいの時にジュラシックパークが好きだったんですが、高校の時に映画館でマトリックスの1作目を観て「なんだこのカッコいい映画!」って影響を受けて。調べてみると、CGや合成でこういう事が出来るんだ、という事を知るきっかけになって、「これはかっこいいな、こういう事をやってみたいな…」と思ったのが、きっかけだったかもしれないですね。
ジュラシックパークの時は「観た事無い映画だなぁ」って、ただエンターテイメントとして観てただけなんですけど、マトリックスで色々「どうやってこんな映像を作っているんだろう」って調べてみて、合成技術というものを知った、というところです。

―何歳の時に観るか、というのも結構大事ですよね。

この業界の人って、スターウォーズ観て…っていう人多いじゃないですか?だから、僕の場合はそれがマトリックスだった、という感じですかね。

―その辺りもやっぱり、年代の傾向みたいなものもありますよね。特撮好きだった人とか。
最近の学生はこういうのが好きっぽい、とか、ありますか?

今の時代、最近の学生たちはもうYoutubeとかがあるので、何でも観れるじゃないですか。
僕らの時はそういうものが無いので、強い影響を受けた作品と言えば主に映画が多かったんですけど、最近は本当に、PVとかドラマとかも、何でもインターネットで観れる時代ではあるので。そういう意味ではちょっと羨ましいな、とは思いますね。

海外の映画やドラマが身近にあるので、その分ちょっと目も肥え始めていると思います。最近の学生って、自分の中の目標が上の方にあると思うんですよ。
でも日本の映画業界に入るんだったら、日本の映画業界はCG予算等での制限がどうしてもでてきてしまうので。
トランスフォーマーみたいなものがいきなり作れるわけじゃなくて…という現実をどう捉え、自分には何が出来るかというね。そこら辺は少し難しいところですよね。本当に「映像そのものが好き!」といった気持ちで入って来れればいいんですけど、「トランスフォーマーがやりたい」と思って業界に入ると、理想と 実際の仕事とのギャップを感じてしまうところはあるかもしれないですね。

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―卒業制作をやっている2年生でも、なかなか自分の理想とするクオリティにうまく届かなくて、すごく辛い…みたいな子もいるので。

まぁ、自分たちの求めるクオリティも上がってきているんでしょうね。
上手くできなくて、そこで嫌になっちゃわなければいいな、とは思いますね。いきなり出来るわけじゃないんで。

―理想が高いのも、もちろん良い事でもあるんでしょうけどね。モデリングまでは出来るけど、その先の作業が多くて…とか、動画として作るところまで手が回らなくて…とか。

映像っていうのは演出ありきな部分もあるので、なかなか難しいですよね。

―では就職活動についてのお話を…。
大手の会社だと選考の期間が長かったりもするので、大きい会社を受けてスペシャリストを目指すのか、大企業でなくても、ジェネラリスト的な働き方を目指すのかというのもあるとは思いますが…。
就職活動も卒業制作もかなりエネルギーを使うものなので、その辺りのバランスが難しそうに感じるので。

就職先も求人票だけでは伝わりにくい所もあるので、実際に行ってみないとわからない場合もありますよね。書いてある事とやっている事が実際に正しいかどうかもわかんないですし。
小さい会社だからって、マイナー作品ばかりやっているわけでもないので。

―就活に向けてポートフォリオを作る上で、何が大事だと思いますか?何を載せるか、とか…。

いろんな事をいっぱい載せるよりも「これが自分の武器なんです!」っていうのが感じられれば、全然いいと思いますね。
企業側からすると、薄く広いものを見たいわけではないと思うので。自分の強みがわかるようなものであれば、割と通用するんじゃないでしょうか。
自分はこれがやりたいんだ!というのが出ている映像にした方が良いとは思いますね。見る側にとっても、何がやりたいのかわかりやすい方が良いと思うので。

―実際に働く時のイメージが浮かびやすいですからね。
「就活が近いのに載せる作品が無い―!」といった声も聞くので…。

1週間頑張れば、何かしらは作れる!今できる最大限の力を1週間使えばそれなりのものは作れると思うので、あきらめないで作った方がいいとは思いますね。

―作品を作る上で、ネタだしのコツとかありますか?

まずは自分の好きな映像を真似てみる事から始めればいいと思います。ハリウッド映画とかでもいいですし。
これを自分がやってみたらどうなるんだろう…と考えながら作っていくと、自然と「自分ってこういう事が出来るんだ!」といった事が解ってくるので。
そのうち自分にできる事とできない事が解ると思うので、そういう事を少しずつやっていけばいいと思いますね。

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あとは映画のメイキングなどを観て、どうやって作っているのかをちゃんと見ておけば、引き出しは増えると思います。
そこから「あのシーンと近い映像を作ってみたいから、メイキングでやっていた作り方を自分でも試してみよう」って真似してみたりすると、発想にもつながると思うので。
まず自分が何をやりたいのかがわからないと何も作れないので。

―出来るか出来ないかの判断もつかない、という。

うん。で、見て覚えておいたり、経験してみないとわからないですから。

―今後、映像業界はどうなるだろう?とか、ありますか?

難しいなー。でも、僕らみたいな、大きい会社から派生したような会社が増える気はしますね。機材も制作予算も価格が下がってきて、気軽に手に入れられて、割と良いシステムも簡単に組める時代なので。
大きな会社で制作しなきゃいけない、という発想がだんだん少なくなってきているような感じがします。だから、会社を立ち上げやすくなってはいると思いますね。

―会社を新しく立ち上げる時も、それぞれがフリーランスとして活動する感じにはならなかったんですか?

フリーランスでやろう、という考えはあまり無かったですね。映画ではCGのスーパーバイザー(監督・監修)がいて、その指示の元 自分たちのチームで仕事を回す、という動き方でやってきたので、それぞれがフリーになったとしても結局は集まらなきゃいけないので。
そう考えると、映画をやろうと集まったメンバーで会社として仕事を受けた方がメリットも大きいので、個人集団というよりは、チームとしてやろうという意味合いの方が大きかったですね。

―もちろん、「この人と一緒だったらやっていけそう」といった事もあるんでしょうね。

ずっと一緒にやってきた、というのもありますね。

―そういう風に言える仲間がいるのも、心強いですね。

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そうですね、細かいことまで言わなくてもわかっている事というのが色々あって。
お世話になっている監督やプロデューサーの方々と仕事をする事も多いので、そういう場合「言わなくてもこの位まではやってくれるだろう」という監督側からの期待もあると思うので、そういった部分を流れで理解してチームとして対応していく、という感じもありますね。

―そうですね。チーム制作って、学生さんたちも苦戦するみたいで。

(笑)まぁ、学生だと役割分担がはっきりしていない部分もあって、「自分がやりたい!」っていう気持ちがそれぞれにあると思うので。それをうまくバランスとって制作するのは、仕事よりもむしろ難しいかもしれないですね。
仕事もそうですけど、結局、一番大事なのは人との付き合い、というか。

―上手くチームを回すコツとかってありますかね?

会社だと縦関係が割としっかりしているので、その分そんなに難しくはないと思いますね。…もちろん全て従えという訳じゃないですけど、自分たちの役割を理解した上で、こちらの要求したものを下の人たちに超えてきてもらえばいい、というような。
もちろん人間関係のトラブルもありますけど、そんなに苦労したことはそこまで無いですね。まぁ、そこまで大人数のプロジェクトではなく、割と少数精鋭チームでやってきたというのもあるんですけど。信頼してきた仲間たちだったから、というのもあるかもしれないですね。

―今日はありがとうございました!

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今日のおやつ:モロゾフ「エダムチーズケーキ・レアチーズケーキ(ミニ)」


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